愛してる?...たぶん。
言い訳…か。



うん。確かにそうだ。



和久井の言う通り、僕は傷つくのが怖くて、恵梨の時のような惨めな思いをもう二度と味わいたくなくて、あの日、恵梨と別れたその日を境に、もう恋なんてするもんか!愛してるなんていらない!って思ってた。



でも、僕の決意とは逆に、ポッカリと空いてしまったと思っていた胸の中にはいつも彼女がいて。



あの日、あの時、無理矢理抉じ開けられた“小さな穴”が日に日に拡がり、じわりじわりと心を占領してきて。



それがいつの間にか怖いと思うようになって、どうしていいか分からなくなって。



僕は自分の心を守る為、無意識のうちに胸のドキドキを大量の言い訳で覆い隠して、でもたまに顔を覗かせる気持ちに心を揺さぶられて、その度に否定し続けて…。結果、だんだんと前が見えなくなって、完成に迷子になってしまったんだ。

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