愛してる?...たぶん。
「てかさ、悪いのはもえちんの方じゃん!」



「は?」



「だって、もえちんが姫に会いに行かないからわざわざ来てくれたんだよ!ね?ひーめ?」



「そーだよ!ずーっと待ってたのに…」



「それ、は…」



確かに。その点に関しては僕が悪い。



和久井との恋バナから早1週間。答えは出たはずなのに、結局、なかなか一歩を踏み出せずにいたのは僕だ。



だが、だからって神谷にサイテーヤロー呼ばわれされる筋合いもなければ、ここに制服を着た彼女がいる理由にもならない。



ここはあくまで学校で、部活中で。いくら制服を着ていても、彼女は“元生徒”であって、この学校の生徒でもなければバスケ部の練習を見に来てくれたOBでもない。それにこのまま彼女がここにいても誰も得をしない。



「あの、槇田、さん?」



「なぁに?センセ?」



「あの、とりあえず帰りません、か?」



「え?」



厳しいようだが仕方ない。キョトンとする彼女をチラリと見た僕は、その手を掴み、立ち上がった。

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