愛してる?...たぶん。
「こっちに来て、センセ…」



「ん」



教室の電気も点けぬまま、右手を差し出す彼女の目の前まで歩いた僕は、そっとその手を掴んだ。



ひんやりとした指先がなんだか可哀想で、少しだけ強めに握りしめた。



「槇田さん…」



「ん?」



「したいこと、ってなんですか?」



あぁ、いつもより幼く見えたのは髪型のせい…前髪が短くなったせい、か。今さら気付くなんて…我ながら鈍い。



無意識のうちに髪ごと頬に触れていた僕は、びっくりする彼女を見つめながらクスッと小さく笑みを浮かべた。



「笑わ、ない?」



「ん?」



そして、くすぐったそうに手のひらに頬を擦りよせながらポツリと小さく呟いた彼女の言葉に、僕はスッと目を細めた。



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