桜花~君が為に~

それから三日後
幹部隊士が一つの部屋に集められた
そこにいつもいるはずの藤堂と斎藤の姿はない
近藤は眉間に皺を寄せ目を瞑っている
土方はいらだった様子で胡坐を組んでいた

今日の屯所内は嫌に静かだ
嫌な、予感がする

「伊東派それに加え藤堂、斎藤が脱退した
奴らはこれから"御陵衛士"と名乗る」

低い声で土方がうなるように言う
その言葉に悠輝・永倉・原田は驚きの声を上げる
沖田は部屋の隅の壁にもたれて黙って俯いている
井上も残念そうに瞳を伏せていた

「今だったらまだ、話くらいはできますよね…」
「え?」

ぽそりと呟いた悠輝の言葉に
横にいた原田が反応する
しかしその言葉には答えず悠輝はばっと立ち上がった
そのまま

「失礼しますっ!!!」

と叫んで部屋を出て行った

「おい待て!!」
「いい!!!好きにさせてやれ!!!」

後を追いかけようとした原田を土方が怒鳴って止める
何処か寂しそうな表情で
彼女が去っていた方を土方は見つめていた
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