君に恋する本の虫
着ていたコートを手に、私達は2階の学習ルームに向かった。
しかし中はすでに受験者達の戦場と化している。
「ここじゃ無理そうだな・・。」
淳の声に私は頷く。
「読者コーナーの机空いてないか見に行くか。」
私達は学習ではなく、読者専用のコーナーまで歩いた。別段、そこが読者専用だからと言って勉強してはならない訳ではない。
ただ、受験者戦争の中じゃないと学習意欲が誘惑に負けるのだ・・。
「あ!そういえば体育の半田!この前国語の加藤と歩いてるの駅で見たってさ!」
「げーっ!!キモい!!半田ってあの筋肉バカでしょ!?しかも相手加藤って・・。オタクじゃん!」
「しかもがっつり手繋いで!!」
「いやーーっ!気持ち悪すぎ!もう聞きたくないし。」
脱線しまくって、楽しい時間を終わらせたくなくて、そのくせ勇気がなくて・・・・。