君に恋する本の虫
母と淳の視線が私をとらえる。
「ぉ・・おはよう!」
右手を上げ、『助かった』というような表情の淳。
「あらあら、じゃぁ気をつけて行くのよ。勉強道具持ってる?」
話しを強制的に切り上げられて少し不機嫌そうな母が私に問いかけた。
「当たり前でしょ。何しに図書館行くと思ってるの。」
私は母に一瞥もくれず、自分の自転車に股がった。
そして初めて母を見る。
「じゃ、行ってきます。」
「あ、それじゃぁ失礼します。」
いち早くペダルをこぎ始めた私を淳が後ろから追いかけてくる。
私の家が見えなくなった所で、私は淳の隣に自転車を並べた。
他愛ない会話をしているとあっという間に図書館に到着した。
私達はそそくさと駐輪場に自転車を押し入れ、足早に図書館の中に入っていく。
モワっという擬音が聞こえてきそうなほど、館内は暖房が効きすぎている。
コートは最早不要の産物だ。