星の夢

朝倉


「……よう」

 声が聞こえる。朝倉加世は机に突っ伏したまま動けないでいた。

「佐藤、また独り言かよ」

 うるさい……。朝倉加世は頭を腕の中へ押し込み様子をうかがう。

「佐藤、突っ立ってないでこっち来いよ」

 誰だろうか、自分の近くに立っている者がいた。わずかな気配……もしかしたら、それは私に気付いていたのかもしれない、そんな淡い期待が私をゆさぶる。

「佐藤、早くこいよ」
「今行く」

 気配が動く。行ってしまう……


「待って……」


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