星の夢
 三人で歩き始めた夜空の階段は半透明に光を放っている。先に見える白く輝く大地は、無くしてしまった何かを彷彿とさせた。

「ついたのか」

 中山が疲れたように呟くと、佐藤は「ああ……」と惚けたように答えた。目は驚きに見開かれ、それを映し出す。

「きれい……」

 その一言に尽きる。
 目の前には吸い込まれるような暗闇とぽつりぽつりと浮かぶ灯り、そして中心に浮かぶように輝く青い大きな宝石のような星があった。

「すげー、星なんてまだあったんだ」

 世界が灰色に包まれてから久しい世界に生まれ生きる子供にとって、本物がキセキのような存在である。

「ねえ、佐藤。あれは何て名前なの」
「星に名前なんてないさ」

 いつまでも途切れることのない風景を持った世界は、不思議であふれていく。

「やっと見つけたんだ」

 そう言った佐藤の横顔はどこか悲しそうに見え、目をそらした。

「もしも、僕達が生きている世界の他に世界が存在していたとする。僕達はその世界の存在知らない。でも、確かに存在しているのを他の世界の人たちは知っている。じゃあ、世界は複数存在してると思うか」

 佐藤の問いかけを理解不能で、ただ中山は思った。

「世界なんて、いくつあっても変わんないんじゃないか」
「確かに……」

 話し始めが「もしも」なのは、佐藤が何かを知っているからかもしれない。

「もしも、僕達が別の世界に生きていたら」

 その時、三人に向かって星が降り始めた。
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