空耳此方-ソラミミコナタ-
「ああ…」
言乃の文面に、羽田は安心したように息を吐いた。
「はて……どこから話そうか?」
【克己さんが玲子さんの為に、この島を手にしたというお話は聞きました】
そのメモを見た羽田の、目が揺れた。
恵は昨夜の間に事情を聞いている。
祖父が関わっている部分もある故から、真剣な目線を彼に送る。
「大体聞いてるのか。それなら話は早い」
羽田は、暗いコーヒーに目を落として、息を吸い込んでから話し始めた。
「そう……この島が鹿沢さんの手に落ちてから、島の人々はもちろんゴミ処理場の建設に反対した。
だがゴミの方は別の場所に建設が決まり、島は放り出された。
……拍子抜けしたよ。
同時に、安心もした。
このまま事態は終息に向かうと思われた。
けどね、何にでもいるんだ。苦情を持ちかけてくるやつは。
国の金を使って買い取った癖に何もせずいるのはけしからんってね。
そこから、急激に島の開発計画が発足・着工まで行った」