空耳此方-ソラミミコナタ-
言乃は困ったように炯斗を見た後、また携帯のボタンを連打した。
【三件目も、二件目と同様なんです。
二件目であの向かい側の鏡に突っ込み、鏡はまた傾き、向きが変わります。
そして、この時間帯が問題だったのです】
「時間?」
日が傾き始め、ほんのりと辺りが赤みを指し始める。
普通の、午後だ。
【そろそろですよ】
その言葉に、二人は固唾を飲んで言乃の見つめる先、トンネルの出口を見つめた。