空耳此方-ソラミミコナタ-
言乃も少年の目線になって語りかける。
「皆上で待ってますよ?」
「そそ。あれはよく似た別人。あんなオッサンいっぱいいるし」
少年はうつむいた。
「今、お前寂しくないか?」
少年は頷く。
「皆に会いたいか?」
さらに二度、頷く。
涙が溢れだし、鼻をすする。
「じゃあちゃんと上に行かないとな」
少年は顔を上げ、くしゃくしゃになった顔で頑張って微笑んだ。
『うん…。皆のところ、行きたい!』
炯斗はにっこり笑った。
「じゃあもうイタズラしないな?」
少年は大きく頷き、立ち上がった。
拘束はもうとれていた。