空耳此方-ソラミミコナタ-
『兄ちゃんたち、ありがとう!』

そう微笑むと、少年はだんだん消えて見えなくなった。

*****


「炯斗くんって子供の扱い上手いんですね」

「んなことないさ」

二人はトンネルを後にし、初めて会った駅前まで帰ってきた。
二人は並んで歩き駅に入る。

「私なんだかこういう機会が多いんですよ、なんだか」

「浄霊みたいなってこと?」

「はい」

改札まで来て、炯斗は言乃に向き直る。

「そゆことあったらさ、また呼んでよ。俺、付き合うから。
はい、これ俺の番号とアドレス」

炯斗は小さな紙切れを渡した。
言乃はその紙切れをまじまじと見つめた。

「へぇ…ケイトってこんな字なんですか。
文字検索、一発で出ませんね」

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