何度忘れようとしても
こんな風になる事は分かっていたけど、とにかく私は気を紛らわせたかった。
私は自分の体でも使って何か別の事実を刻みたかっただけだった。

それから私たちは、何事もなかったかのように服を着て翔太の車でご飯を食べに行った。

カップルのように手を繋いだり寄り添う事もなく、2人の間にはいつも通りの友達の空気が変わらず流れていた。

帰り際、翔太は保険のお金はいつから引き落とされるからみたいな事を話しながら私をマンションまで送ると帰って行った。

一人部屋に戻ると乱れたシーツがそのままで、私は寂しさがただ増したように感じていた。

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