何度忘れようとしても
私の上で翔太がすごく気持ち良さそうな表情をして感じている。

私も荒い息の中翔太の体に腕をまわして、目を閉じた。
そして彼の体温と体の厚みをじっくりと感じながら些細な違いを感じ取っていた。

孝昭じゃない。

その時、快楽と同時に私を襲ってきたのは強い胸の痛みだった。
気持ちいいと感じれば感じる程、空しさが痛々しく心の中にじんわりと広がっていく。
私は涙をこらえながら、翔太の体の動きが止まるのをただ待った。



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