何度忘れようとしても
そして朦朧とする中、珍しく定時に帰って行った昨日の佐伯くんの事を思い出した。
とても慌てた様子で帰って行くので気になった私は、君島くんにそれとなく

「佐伯くん、今日は珍しく早く帰ったね」

と言ってみたのだ。そしたら「彼女が熱出しちゃったらしいですよ」と、君島くんは教えてくれた。

それから私はずっと落ち込んでいた。

やっぱり彼女は、大切にされてるんだ・・・

それに比べてどうだろう・・・私は。
風邪を引いても誰も来てくれないし
冷蔵庫の中は空なのに何も買いにも行けないし、その前に何も作れないし・・・。


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