何度忘れようとしても
それは挙式中、ずっと続いた。

誓いの言葉も指輪の交換も誓いのキスも
私たちの姿と重なって見えていた。

そしてチャペルを退場していく2人。
私たちも、開いた扉の方へと向かう。

テラスの方から差し込んでくる眩しい光に照らされて
扉の上で輝くのは『幸せの鐘』だった。

ゲストに囲まれ、2人はその鐘を鳴らした。

その時空に吸い込まれていく様に響く鐘の音を聞きながら私は、孝昭と自分にはっきりとした運命をふたたび感じてしまっていた。
< 70 / 222 >

この作品をシェア

pagetop