本と私と魔法使い
とん、と私を和泉は押し倒した。

「…ね?咲はこんな俺をどう思う?」


唇がいとも簡単にくっついた。情緒も何もない。心が、からからに渇いていきそうだ。

王子様な、薄っぺらな自分を作る理由。最初から信じられないから、信じてないから、まわりにとびきり優しく出来るんだ。


「…っ、…んぅ…ぃず、みっ‼やめて…」


和泉の胸をとんとん叩いた。
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