本と私と魔法使い
「良いけど、どこに?」


私の質問に答えずに、下で待ってるから、と部屋を出て行ってしまう。

ちょっと待て、
これって、世間一般の常識的にはデートじゃないですか、

私はケータイの辞書機能で調べる。

デート【デート】
日付。日時を約束し異性と会うこと。


わ、お。

私は真っ赤になりながら、服を決めるのかなりの時間を要した。


ー…

「ハル、どこかへ出掛けるの?」

「うん、そんなとこ」

俺は父さんに笑いかけた。

「今日は、香苗さんの命日だな…」
「父さんは…」
「昨日行ったよ…、佐恵子さんとふたりでね」

父さんは机に広げた新聞紙をまとめ、あれから10年…か、と呟いた。


あれから…。
優しそうな目に映るのを憎しみだと疑いはじめたのはいつからだろう…?
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