本と私と魔法使い
「おかえりー」
私は半身お越しながらお母さんに声をかけた。

「うん、ただいま。…ねぇ、咲、今日の夜に会って欲しい人がいるの」

あのね、と伺いがちに私に聞いてくる。
多分、あの事だろう。

「いいよ、今日の夜って、何時?」


ぱっ、と笑顔になって、言う。

「7時から夕飯をご一緒する予定なの」

最近のお母さんはすごい綺麗になったと思う。40を半ばに過ぎた人を思えないぐらい。

やっぱり恋をしているからだろう。
親の恋愛に口を出すほど子供ではないので、お母さんが幸せそうにしているのは単純に嬉しい。
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