本と私と魔法使い
私はにこりと笑って言った。

「部屋から出てって?」

「ちょ、俺、怪我人だって!!」

和泉を蹴り出した。


良いヤツなのか悪いヤツなのか、わかんない。優しく、忙しく跳ねている心臓がうるさい。

「…んで…」

私は火照った顔をぺちっと叩いた。


「なんで、私、ぃ…嫌じゃないのよ…?」


ひとりで呟いた。

やっぱりあいつは、王子様なんかじゃない。
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