ノンシュガー・ノンビター【VD中編】

刺さる言葉



頭の中で、意思とは無関係に何度もしつこくリピートされる白波の声。


“咲々乃くんと夏村さんってすーっごくお似合いだよね!”


…ちょっとばかし、悪意のある脚色を加えて。

グサグサと遠慮なく俺の心を抉る言葉は、好きなひとから言われているというだけで威力が数倍跳ね上がっていた。

平坂に仲が良いんだねぇと言われるのとは大違いだ。

確かに今までも、数え切れられないほど夏村とのことを勘違いされ、揶揄されたことはある。

ひどいときは黒板にでっかく相合傘を描かれたな。

小学校のときから言われ続けていたためすっかり当の本人たちは冷め切っていたが。

それに夏村のあの性格も手伝って、俺がどうこう言う前に噂を言い触らしていた男共の元に殴りこみに行っていたものだ。


…だから、この手の話は久しぶりに聞いた。
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