線香花火【完結】
「たかはもう陸上しないの?」突然の質問にびっくりする。
「何で?」
「バスケしてるたかもいいけど…陸上してるたかの方が私は好きかな」そう言いながら俺の顔を見る。ドキドキしている俺の心臓。
「そうだな…陸上、やりたいかもな」
「あ、そうなんだ」嬉しそうに笑う日向。
「親父にさっき言われたんだ」
「何て?」
「お前はまた陸上をやる気がするって」俺は星が出ている空を見上げる。
「私もそんな気がしてたよ。だって、陸上してたときのたかの顔の方が輝いてた」
彼女はどうしてこうも素直にズバズバと恥ずかしいことを言えるのだろう。俺はうらやましくてたまらない。