Tolie.
「 ・・・一輝 」
「 ん? 」
「 一輝は本名? 」
彼の胸に顔を埋めたまま、
そう聞くと、彼は大袈裟に
笑って”当たり前だろ”って
強く抱きしめられた。
「 教えてくれる? 」
少し、怖いのは私だけじゃなくて
きっと彼も怖いんだと思う。
現に、こうして彼の腕は震えて
私を離さないように、隙間もなく
強く抱きしめてる。
ふとしたときに、リカの話が
頭を過ぎって、無意識に体に
力が入ってしまう。
それも、私だけじゃない。
むしろ、私より慎重に考えて
行動してる人が目の前にいる。