Tolie.




「 ・・・一輝 」


「 ん? 」


「 一輝は本名? 」




彼の胸に顔を埋めたまま、
そう聞くと、彼は大袈裟に
笑って”当たり前だろ”って
強く抱きしめられた。





「 教えてくれる? 」




少し、怖いのは私だけじゃなくて
きっと彼も怖いんだと思う。




現に、こうして彼の腕は震えて
私を離さないように、隙間もなく
強く抱きしめてる。








ふとしたときに、リカの話が
頭を過ぎって、無意識に体に
力が入ってしまう。





それも、私だけじゃない。
むしろ、私より慎重に考えて
行動してる人が目の前にいる。







< 238 / 445 >

この作品をシェア

pagetop