短編集
日曜日ってことで電車の中は混雑していた。
ドアの前で私と暁君は並んで立っている。
何というか今、寿司詰め状態の一歩手前ってくらい混んでいて狭い。
「ここから3駅いったところにあるんだ。それまでの辛抱だな」
上から声が聞こえる。
暁君の声なんだけど。
混んでるからわりと近いとこにいて、見おろされている。
「うん。」
人に囲まれるのは慣れてないから疲れる。
といっても私の周りは、ドアと手すりと暁君なんだけどね。
「窮屈だと思うけど我慢してくれ」
「うん。」
確かに狭い。
でもまぁ仕方ないか。
そのまま、次の駅に着いた。
ドアが開くとさらに人が流れ今度来る。
本格的に寿司詰め状態になってきた。
というわけで暁君と密着寸前。
暁君はドアと手すりに手をついてなんとか持ちこたえている。
「やばいなーさすがにちょっときつい」
とまで声を漏らす。
別に窮屈になっても耐えられるのに。
心配しなくてもいいのにね。