短編集
そして畳まれた車椅子につまずき、そのまま抵抗する暇もなく暁君に突撃。
「うおっ」
元野球部の反応を見せ私を抱き止めてくれた。
「ありがと。」
「あ、あぁ。気をつけろよ」
顔は窓のを見ていて小さくつぶやく。
「ひゅーひゅー」
「?ひゅーひゅー」
と御幸君がニヤニヤしながら茶化したような口調で言って、桜は首をかしげながら棒読みで同じ言葉を発した。
「からかうんじゃねぇ!」
「いやーだってねぇ?」
「ねぇ?じゃねーよ!」
「まぁまぁ。かっかしなさんなって」
「もうどうでもいいや」
二人の気がすんだのか、暁君があきらめたのか。よくわからない二人の話だった。