憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
「尚に、会いに来た」
「……ひとりで?」
こくりと頷いた彼女は、あたし達なんてお構いなしに、尚の腰にギュッと縋りついた。
「お……おい、ヒサ。誰?お前の知り合い?」
千秋が戸惑い気味に尚に声を掛けた。
その問いに、尚が小さく頷く。
そりゃそうだろう。これで他人同士だっていう方がありえない。尚はあたし達に向かって小さく溜息を吐いて、ひとこと言った。
「妹なんだ」
ぽかんと口を開けたまま、あたしと千秋は思わず「え、」と声を漏らす。
「だから、妹。名前は結衣」
「「ええっ!?」」
同時に上げた大きな声が見事にハモり、尚は嫌そうに眉を寄せた。