憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

「尚に、会いに来た」

「……ひとりで?」

こくりと頷いた彼女は、あたし達なんてお構いなしに、尚の腰にギュッと縋りついた。

「お……おい、ヒサ。誰?お前の知り合い?」

千秋が戸惑い気味に尚に声を掛けた。
その問いに、尚が小さく頷く。

そりゃそうだろう。これで他人同士だっていう方がありえない。尚はあたし達に向かって小さく溜息を吐いて、ひとこと言った。

「妹なんだ」

ぽかんと口を開けたまま、あたしと千秋は思わず「え、」と声を漏らす。

「だから、妹。名前は結衣」

「「ええっ!?」」

同時に上げた大きな声が見事にハモり、尚は嫌そうに眉を寄せた。
< 379 / 533 >

この作品をシェア

pagetop