憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

***

結衣ちゃんは、よくよく落ち着いて見てみれば、それはそれは可愛らしい女の子だった。華奢な体型と、ウェーブのかかった栗色の髪、陶磁器のような白い肌に整った目鼻立ち。さすが尚の妹だ。

蜂蜜色の双璧が、じっとあたし達を見つめている。

「尚、この人達、誰?」

ぴし、と小枝のような人差し指であたし達をさす。
尚は先程まであたし達に向けていた、嫌そうな表情を引っ込めて、丁寧に仮面を被るのだ。

「こっちが、佐伯千秋。同じ委員会の同期だよ。そして……」

尚が、ニコリと笑ってあたしを見た。
ドキリと心臓が鳴った。あたしは、未だに慣れないのだ。尚が演じる尚に。

「同じく、同期の黒崎真知。俺の彼女なんだ」

尚の言葉に、結衣ちゃんの目が大きく見開かれた。
< 380 / 533 >

この作品をシェア

pagetop