憂鬱なる王子に愛を捧ぐ
言われるがままに珈琲を淹れているあたしもどうかとは思う。そっと手渡した珈琲を、何も言わずに岡崎尚が受け取って口をつける。
その形のいい眉を顰めた。
「ッチ」
舌打ちですか!?人に珈琲淹れさせといてその態度はなんなんだ!
「甘すぎ。砂糖何杯入れたの」
「……一杯……山盛り」
「ありえない。次はミルクだけでいい」
なんだかんだ文句を言いながらも岡崎尚は珈琲を飲む。
その姿は実に実に様になっている。
「ねえ、岡崎尚」
「なんでフルネーム?」
「なんて呼べばいいかわからない」
岡崎君?尚君?どれもなんだかしっくりこない。
「じゃあ、尚」
「呼び捨てとはいい度胸だね」
「すみませんでしたあ」
こいつやだ。ほんとやだ。
凄く面倒くさいしなんだか接するのが難しい。いつも陽気で単純な千秋を相手にしているために、その違いが更にくっきりと浮き出ている気がする。