憂鬱なる王子に愛を捧ぐ

岡崎尚と比べたら、千秋はきっとミトコンドリアだ。

「……尚」

「……なんだよ」

「呼んでみただけ」

「用がないのに呼ばないでくれる」

気まずい。
どうしてあたしに対する態度はこうも最低なんだろう。あの先輩達に向けていた人当たりの良さは、一体どこへ?トークを弾ましてこの気まずい空気を和ませようなんて考えが、尚にあるはずもない。

思えば初対面の時からこの有様。
あたし、何かしただろうか。もはや、顔がムカつくとか、なんとなく雰囲気が気に入らないとか、そういうレベルの問題であるとしか考えられない。

なぜこんな態度を取られなきゃいけないのか皆目見当もつかないのだ。

「珈琲、冷めるよ?」

尚が、飲めと促す。
苦い珈琲が今は一段と苦味を増している。もう珈琲なんてどうでもいいから即刻この場から退場したい。
そもそも、この課題を優秀な先輩方にやってもらえないかなあなんて思惑で来ただけなのに。

その先輩がいないこの場所にいる意味なんてないじゃないか。
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