大人的恋愛事情
 
そんなことを言うのは、やけに長いマフラーが癪に障る藤井祥悟。



「裏の裏くらい読まれるかと思ってたのに」



軽く言いながら近づいてくる男は、どうやら私の行動を簡単に読んでいたらしい。



立ち止まって藤井祥悟が近づいてくるのを見ながら、なんだか急にどうでもいい気分になった。



「飲みに行くって言ったっけ?」



「ああ、そうだな」



「じゃあ、料理が美味しくて、焼酎の種類が豊富で、雰囲気が良くて、リラックスできる店にしてよ」



「注文多いな」



呆れたような藤井祥悟が微かに笑う。
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