大人的恋愛事情
 
両肘をカウンターに付き、何となく両手で頭を抱えるようにしていると、隣で藤井祥悟が笑いながら少し近づいて耳元で低く囁く。



「始めよう」



「え?」



「始めてみてそれでも嫌なら、その時は諦めるわ」



頭を抱えたまま、顔を横に向けると近い距離で私を見ている藤井祥悟が、さらに顔を寄せて、少し前になっている私の肩に唇をつけた。



服越しだし、ここは店のカウンターだし、元々隣同士で近い距離だし、不自然だったわけでもないし、別にどうって事ない行為なのに。



すぐに唇を離して、微かに笑うその顔は少し余裕に見えてなんだか癪に障るのに……。



「まゆ……」



「え?」
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