大人的恋愛事情
 
小さく頷くしかない自分が情けないながらも、だからといって結局はすることは同じなのだと冷めている自分もいたりして。



「私……」



「だったら黙ってろよ」



低く冷たいような声は、不機嫌に聞こえなくもなく、首筋へのキスもないまま、いきなり直接的に核心に触れてくる。



それはとても乱暴なやり方に思えて、何故か怖くなり思わず腕を後ろに回して、快感を引き出そうとしてくる男の首に回す。



少しでも藤井祥悟を感じたくて……。



大丈夫、どこまでも酷いことはされないと、自分に言い聞かせる為。



相手は藤井祥悟なのだからと……。



そうしないと誰にそうされているのかわからない気がするから。
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