大人的恋愛事情
あり得ない場所同士でしか繋がっていない二人の距離を、藤井祥悟が縮めようと思うのか、シンクに手を置く反対の手で私の頭に触れる。
髪に触れる指の動きが優しくなり、頭を撫でる手の動きに優しさを越えた何かが見え隠れし始めた。
そうされると、さらに加速する奉仕の気持ち。
そんなふうに触れてくれるなら、そんなふうに感じてくれるなら。
もっとしてもいい……。
今までの誰よりもいいのではと思わせたくなり、私で感じて欲しくなる。
そして不思議なことに夢中になればなるほど、私の息もまた乱れ始め。
「繭……」
そう言う声が低く甘く聞こえた気がして視線を上げると、見下ろす男の黒い瞳が僅かに細くなった。