大人的恋愛事情
 
求めていた甘い快感が得られないまま、不安になり藤井祥悟に救いを求めるように手を出すと、それが強く握られた。



「悪い、マジで余裕ねえ」



そう言った声はどこか申し訳なさそうに聞こえて、その顔を見上げると逃げられない快感に耐える藤井祥悟がいて。



その表情に何故か胸が締め付けられる気がした。



きっと私が思うように快楽を得られていない事をわかっている藤井祥悟。



それでも自らの本能的な快感を我慢できないらしい藤井祥悟。



それはとても求められているように思えて、胸がキュッとなりそしてジワッと温かく満たされる。



気が付くと携帯の着信音など、すっかりどこかへ行ってしまっていた。
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