大人的恋愛事情
 
「溺れるのは俺だな」



たった2日一緒にいるだけなのに、一週間ほど前はお互いほどんどなにも知らない相手だったのに。



それなのに、驚くほど近い距離感なのは、きっとそういうことをするからだと思う。



最初がそれだったためか、何故かこの男にはそういうことの抵抗感がない。



抵抗感がないうえに、どうせするならと開き直ったりして、平気で誘うようなことも言えたり出来たりする。



「他の男にするなよ?」



「なにを?」



「誘うようなことだ」



わかってはいても聞き返した私に、低い声で答えながら後ろから抱き締める。



「繭」



「……なに?」
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