大人的恋愛事情
「嫌じゃないんですよね? いいじゃないですか、藤井さんって社内でも人気ありますよ。かっこいいし大人だし、仕事も出来るって噂で凄くモテるのに、どうしてどうもしないんですか?」
どこまでも食いついてくる美貴ちゃんに、軽く本音を呟いた。
「だからよ」
「はい?」
「将来が見えない」
投げやりな私の言葉に、美貴ちゃんが不思議そうに首を傾げる。
「どういうことですか?」
「大人で、かっこよくて、仕事ができて? そんな凄くモテる男との将来が描けない」
そう言った私の言葉に、美貴ちゃんは意味がわからないのか不思議そうな顔をして、詩織は納得したのか微かに笑った。