大人的恋愛事情
そもそも、もう私は藤井祥悟と……。
と、なんだろう?
別になにかを約束しているわけでもないし、かと言って、お互いの気持ちは少なくとも通じている気もするし。
目の前で座り込む圭は、休みの間のことを何も聞いてこない。
それは私がどこでなにをしていたかを、無理に聞きだすつもりはないらしく……。
「退いてくれないなら、もういい」
何故か急に少し切ない気分になり、慌ててそう言って廊下を引き返そうと歩き出すと、圭が呼び止める。
「繭っ」
そう言って立ち上がり、私の腕を掴む。
「放して」