大人的恋愛事情
 
「いや……ここくるまではそんなでもなかった」



掠れた声をさらに掠れさる圭の身体は服越しでもわかるほど熱く、鍵を開ける私は本意ではないものの仕方なく家に入れた。



余程頭が痛いのか、壁に手を付きながら靴を脱ぎ熱い溜息を吐く。



「悪いな……」



いつもはどこまでも強引な男なのに、何故かこんな時に限ってそんなことを言ったりする。



そう言われると、熱があり立ち上がるのも辛そうな状態ならと、変な優しさが出たりして。



「体温計持ってくるから」



そう言って、1LDKの寝室のクローゼットに体温計を取りに行く。



視界の端に入るそれを見ないようにして、クローゼットを閉めてリビングに戻った。
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