大人的恋愛事情
 
コートを脱がせようとすると、抵抗するようにそれを強く掴む。



そんな子供じみた仕草に、思わず笑いそうになる私は、結局は圭のペースだったりして。



「着替えあるから」



「誰の?」



ソファで横になりながら、私を見上げ伺うような瞳から視線を逸らす。



「圭の……」



どうしていまだにクローゼットの隅に置いてあるのか、自分でもよくわからなかったりして。



いつでも捨てられると思ってただけで、別に大事に置いておいたわけでもない。



そもそも、部屋着のスウェットだったりするのだから、高価なものでもなんでもないのに。



それなのに何故か捨てられずにいたりしたのは……。



「繭?」



下から圭の伺う声が聞こえても、そちらを見る気にはならない。
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