大人的恋愛事情
 
顔を逸らしたままの私に、掠れた声が聞こえた。



「ごめんな……悪かった……」



やめてよ……。



そんな風に謝ったりしないでよ。



一年の溝を簡単に埋めようとしないでよ。



「熱測って」



「繭……」



「脱いで」



圭の顔を見ないまま、コートに手を掛けそれを脱がせる。



今度は圭もされるままになっていて、素直にコートを脱ぎスーツも脱いだ。



どうして泣きそうなのか、どうして顔を見られないのか、もう一年も前に終わってるはずなのに。
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