大人的恋愛事情
 
「佐野、電話入ってる。二番な」



男性社員の声に、美貴ちゃんに視線を向けて呆然と考えていた私は、無意識に受話器を取り二番のボタンを押す。



「お電話代わりました、佐野……」



『なんだ? 元気ねえな』



確かに元気に声を出す気分でもないけれど、いちいちそれを敏感に察知する男に、一気に現実に引き戻された気がした。



てか、なに圭との結婚を考えてるわけ?



別に私は婚活中でもなんでもないはずで……。



『今日も裏か?』
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