大人的恋愛事情
「どうして?」
『よくわからねえけど……、そう思う』
静かにそう言う藤井祥悟。
今日はやけに照れたような藤井祥悟。
いつもより子供っぽいことを言う藤井祥悟。
「いいんじゃない?」
少し笑って返す私の胸は、何故か穏やかで温かくて……。
「悪くなかったしね」
そう言った私に藤井祥悟が耳元で笑った。
明日のことを約束するわけでもないまま、短い電話を切る。
ゆっくりと静かに入ってくる男は、私にとって心地よくて本当に悪くない。