大人的恋愛事情
きっとそういうこともしたけれど、本音を晒し泣いた私を優しく受け入れてくれたことが……。
「なにが悪くねえんだ?」
その声にビックっとして振り返ると、リビングの入り口でこちらを見ている圭が微かに笑っている。
その顔は笑っているのに、目だけは冷たい光りを宿していて。
帰るつもりだったのか、スーツの下を穿きシャツはまだボタンが止められていない状態の圭がソファで固まる私をその場からジッと見る。
「別になんでも……」
そう言う声が掠れた気がして、持っていた携帯から手を放した。
別に圭に関係ない……。