大人的恋愛事情
「てか、そんなこと思うなら誘ったりしないでよ」
呆れてそう言う私に、詩織が意地の悪い声を出す。
「寝るのはいいけど、鍋は駄目ってどういうこと? 繭の許容範囲がまったくわからない」
確かに……。
真っ当な詩織の意見に返す言葉もなく思わず詰まる。
でもまさかこんなことになるとは思ってなかったから。
というより、正直なにも考えていなかったのが事実で。
あの日、たいした理由も何もなくそういうことをした自分に、今さらながら後悔する。
「いいんじゃない? とことん遊びでもないみたいだし」