大人的恋愛事情
「どうも嫌われてるみたいだし、今日はここで」
笑って歩き出す男は、簡単にはめげないわりに、どうやら引き際も心得ているらしく。
やけにアッサリと帰って行く藤井祥悟を見送りながら、詩織が呟くように聞いてくる。
「本当に変な性癖なかった?」
「はあ?」
「あんなにスッキリとした男って、なんか怪しくない?」
「なにそれ」
「出来過ぎてない? エッチはどうだった?」
「別に普通よ」
「普通って?」
詩織が疑わしそうに聞いてくるので、それ以上答える気にならない私は歩き出す。