大人的恋愛事情
この瞬間のその声はズルイと思いながらも、今は全神経が後ろで私を支配する圭に持って行かれていて。
「それでもいい」
「あぁぁ……ぁ」
「俺は愛してる」
後ろからのそんな声を聞きながら、やっと迎えるその瞬間に意識が落ちて行く。
そんな中感じるのは言いようのない罪悪感と、別に流されておけば楽なのではないかという、まったく別の感情だった。
最短距離か、最長距離か……。
ハッキリ明確な圭の結婚したいという要求と、曖昧な藤井祥悟との穏やかなゆっくりした大人の付き合いか。
いったいどうすればいいのかなど、私にわかるはずもなく……。
27歳独身女の究極の選択は、簡単に選べそうにもない気がした。