大人的恋愛事情
 
朝のキッチンで、圭と向かい合ってテーブルに座り、朝食を食べながら押し寄せる後悔と戦っていると、向かいに座りパンを食べる男が口を開く。



「今週の休みに、繭の実家に行こう」



「え?」



「挨拶に行かねえと、話も進められねえし」



そんなことを軽く言い出す圭に、持っていたパンを落としそうになる。



どこまでも私と結婚をするつもりらしい圭。



見慣れた私の部屋でスーツを着てパンを食べる圭。



昨日の夜とはまったく違い、柔らかい雰囲気を出す圭。



「ちょっと勝手にそんな話……」



「藤井さんはなんて?」
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