大人的恋愛事情
お昼に正面玄関まで降りてきた私を待っていたのは、どこまでも不機嫌な男だった。
受付嬢の痛い視線を無視しながら、辿り着いたというのに、その男は私を見ると軽く腰かけていたソファの背凭れから立ち上がり、なにを言うでもなく正面出入り口の方へと歩きだす。
周囲の好奇に満ちた視線も、冬の冷たい風も、なんだったら私の存在すらも無視しているかのようなその態度は、明らかに不機嫌で冷やかな空気を出している。
どこに向かうのか、いったい話とはなんなのか、まったくわからないけれど、今の私には無言の藤井祥悟の後を付いて歩くしかなく。
先を歩く男は私が付いて来ているのかどうかも、興味がないように見えた。
そんな態度は私を不安にさせながらも、苛立たせる。