大人的恋愛事情
唐突に立ち止まり、藤井祥悟がこちらを振り返った場所は会社から離れた、オフィス街の憩いの場。
中央に大きな噴水があるこの場所は、季節が良い時にはここでランチも悪くない。
幾何学模様の地面のタイルに視線を落とした藤井祥悟が、黙っていた口を開いた。
「なんのつもりだ?」
なんのつもりもなにも……。
言い訳出来ない私は、静かに返すしかなく。
「別に……」
長いマフラーの先を見つめながらそう言うと、そのマフラーが少し揺れた。
「別にって?」
「別によ」
「繭」
静かに冷たく呼ばれて、マフラーを見つめていた視線を上げると、熱いのか冷たいのかよくわからない藤井祥悟が私を見ていて。