大人的恋愛事情
「普通はいるわよ」
「繭さん……」
「これで圭との結婚も……」
「ここで泣かないでくださいよ?」
そんな困った声に顔を上げると、私を心配そうに見ている美貴ちゃんが霞んで見えたりして。
「ちょっと、化粧直しに……」
「それがいいですね」
なんて静かに言ってくれるので、思わず立ち上がり総務を出た。
いよいよ馬鹿馬鹿しいにもほどがあるというのに……。
女子高生でもないのに、こんなことくらいとも思うのに。
ここ最近弱りきった私に、これは本当にキツかったりして。
パーフェクト氷室に嫌味を言われたところなのに。